『リクイッド・ウッズ 樹海』(2010) - Yellowbrickroad –

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前回に続いてまた森だ。深い森で70年前に起きた不可解な出来事を調査して本を出そうとする一行が、同じく不可解で悲惨な目に遭ってしまうというお話。うっそうとした樹海というより、割と開けた森での出来事なので暗く鬱々とした感じは無い。その感じが無いまま、終盤まで突っ走るから、観る者置いてけぼり感がふつふつと・・・

■リクイッド・ウッズ 樹海 - Yellowbrickroad -■

2010年/アメリカ/100分
監督:アンディ・ミットン、ジェシー・ホーランド
脚本:アンディ・ミットン、ジェシー・ホーランド
製作:エリック・ハンガーフォード
製作総指揮:キャシディ・フリーマン 他
撮影:マイケル・ハードウィック
出演:
マイケル・ラウリノ
アネッサ・ラムジー
アレックス・ドレイパー
キャシディ・フリーマン
クラーク・フリーマン
ローラ・ハイスラー
リー・ウィルコフ

解説:
童話「オズの魔法使い」の物語にオマージュを捧げたスリラー。

あらすじ:
1940年のある秋の日、ニューハンプシャー州・フライヤーに棲む全住民が北方の森へと姿を消す不可解な事件が発生。後に森に入った捜索隊により、いくつかの凍死体や惨殺死体が発見されたが大半の者は発見される事は無く、やがて事件は闇に葬られた。2010年、カメラマンのテディは妻のメリッサ、行動心理学者のウォルターと共に70年前に起きた忌まわしき事件の真相を調べるためフライヤーにやってきた。協力に名乗りを上げたメンバーを新たに加え、計8人となった調査チームは70年前に住民が辿ったとされる“イエローブリックロード”と呼ばれる道を進むのだった-
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「黄色いレンガ道」という原題のこの映画にファンタジックな要素は全く無い。
「黄色いレンガ道」とは、「オズの魔法使い」でドロシーら一行が歩いて行く道のこと。本作では、あるグループが森の奥へと続くこの道を進み、えらい目に遭う。

Yellowbrickroad

その道の先には、70年前に村人全員が、不可解な死を遂げ、または行方不明になったという曰く付きの場所がある。未解決だ。そのミステリーを解くべく集まったのが今回の被害者グループ。リーダーはこれで本を出そうと目論むバーンズ夫妻。これに行動心理学者の友人ウォルターらを含め7人が計画を練り、急遽参加することになった地元の女性を含めて8人が出発した。
最初はハイキング気分で進んでいたが、まずGPSが狂い現在地を知らせなくなった。測量技師も参加していたので気にせず進んでいると、どこからともなく音楽が聞こえるように。この古い音楽がどこから聞こえてくるのか分からないまま、一行は進む。ここで既に数日経っていた。

Yellowbrickroad

測量技師の一人が帽子を拾う。古いタイプの帽子で誰が落とした物なのか、件の村人ではないかと話題になるが、問題はとても70年前の物とは思えないほど綺麗なこと。気に入った男性技師はそれを被って進む。しかし、ある時、この帽子が原因で、もう一人の女性技士と口論になり ―
このあたりから、皆の精神状態がおかしくなっていく。それをさらに攻撃するように発せられる大音量の音楽。発信者は分からず人の気配も無い。戻ろうと提案する者もいたが、リーダーのバーンズ夫妻は前進することを決める ―

うまくいっていたグループがバラバラになり、精神的におかしくなっていく。
この映画、最後まで観ても分かりにくい が、「オズの魔法使い」にオマージュということで、いくつかのキーポイントは出てくる。

Yellowbrickroad

まずは“イエローブリックロード“。
魔法使いの住むエメラルドの都へと続く道。ドロシーがカンザスの家に帰りたい一心で歩いた道。実はただの人間で発明家にしか過ぎないウィザードが住む都へと続く道。
この「黄色」という色は曲者で、自分は基本的に好きじゃない。「幸せの黄色いハンカチ」とかはあるけれど、「注意」「危険」と感じてしまう。この色の付いた道が安全だとは思えない。ほら、だからね・・

ドロシーに同行した彼らも出てくる。
脳の無いカカシ心の無いブリキの木こり臆病なライオン」。
もちろん彼らはグループのメンバーで、そんな姿にしたり、されたり、結果そうなったり。悪い魔女化する女性もいる。それにどんな状況になっても「大丈夫。安心して。私がいるから」と言うリーダー妻はドロシーなのかな。でも本作には残念ながら「良い魔女グリンダ」がいなかった。最終的に助ける人が。

グリンダがいないまま、一人前進したリーダーが見つけたもの。エメラルドの都の城の代わりに建っていたものと、そこにいた人。それは出発地点の町フライヤーにもあった。本当にこのグループは森を進んでいたのか、それとも森に住む悪い魔女に化かされていたのか。

地元の人は誰も近付かないと言うイエローブリックロード。その森はオズの国そのもので、誰も理解することは出来ない。ウィザードがドロシーを助けることが出来なかったように、誰も助からない。理由も説明も無い。
この映画を観ている者にも。

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 不条理で理解不能な世界観を出したかったんでしょうが、、
    デヴィッド・リンチを真似しきれなかったというか、やり過ぎて失敗したというか、、
    とどのつまり、ラスト分かりません!正直、降参です!
    makiさんみたいに「こうじゃないのかな?」と考えることも出来ませんでした[絵文字:i-179]

  • ラストが説明不足で意味不明感が漂っていましたね…
    正直きちんとこのお話を消化できていないので、
    脳の無いカカシ・心の無いブリキの木こり・臆病なライオンが
    グループメンバーに該当するというのも、なるほどなーと思いました
    結局、最期の映画館で映写されていたのが何を表していたのか。
    こうじゃないのかな?みたいなものはあるんですが、
    謎です…

  • リクイッド・ウッズ 樹海

    Gyao!で先行配信されていましたね。タイトル付け放題なる一般参加企画でしたが、結局タイトルはこのようにされたようです。「イエローブリックロード」のままでも良かったと思うんだけど。
    70年前に起きた忌まわしき事件の真相を調べるため、調査チームは70年前に住民が辿ったとされる“イエローブリックロード"と呼ばれる道を進むのだったが…。
    イエローブリックロードと言えば、ほらアレですよ…

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