『ゾンゲリア』(1981) - Dead & Buried –

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ゾンゲリア』っていうタイトルからてっきりゾンビものだと思って観始めたら、冒頭は間違えた?と思ってしまう感じのエロもので、次第に「狂人村」もの、「刑事ものサスペンス」へとどんどん話が展開していく。展開はまだまだ続き、よくこれだけ詰め込んだものだと感心。おまけにラストのオチまでついて、ストーリーの破綻も無し。古い映画だけどなかなか見応えがあった。ちょい役で若き日の“鉤爪男フレディ”も登場。

ゾンゲリア - Dead & Buried –

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1981年/アメリカ/94分
監督:ゲイリー・A・シャーマン
脚本:ロナルド・シャセット 他
原作:チェルシー・クィン・ヤーブロー
製作:ロナルド・シャセット 他
製作総指揮:リチャード・R・セント・ジョンズ
撮影:スティーヴ・ポスター
音楽:ジョー・レンゼッティ

出演:
ジェームズ・ファレンティノ
メロディ・アンダーソン
ジャック・アルバートソン
デニス・レッドフィールド
ナンシー・ロック・ハウザー
リサ・ブロント
クリストファー・オールポート
ロバート・イングランド

解説:
平凡な港町を舞台に、生き返った死人たちによって行われる奇怪な殺人事件を描いたミステリー・タッチのホラー。一種の“ゾンビ”物だが、ダン・オバノンとロナルド・シャセットの「エイリアン」コンビによる脚本はロメロのエピゴーネン群とは一線を画す新しいタイプの作品を創造した。顔面溶解や遺骸復元のシーンなど特殊メイク(スタン・ウィンストン)も秀逸。
(allcinema)


あらすじ:
小さな港町ポッターズ・ブラフ。ある日、大火傷を負った旅行者の発見を皮切りに、この平和な町に次々と殺人事件が起き始める。村の保守官ダニエルは検死医であり葬儀屋も営むドッブスに相談しながら捜査を進めていた。そんなある夜、飛び出してきた男をパトカーで撥ねてしまった彼。男は立ち去ってしまったが、車のフロント部分に残っていた皮膚を調べたところ3ヶ月も前に死んだ人間のものであることが判明する ―


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田舎の港町に自称カメラマンの青年が仕事で訪れる。
彼が乗っているのが「フォルクスワーゲン/Type2」らしいワゴン(一度は乗ってみたいと常々思っている管理人。確か『悪魔のいけにえ』の若者達も乗っていた。でも一番欲しいのはブルース・ウィルスが昔CMに出ていた白いレガシー)。

お洒落な車から高価そうなカメラを取り出して海岸の風景をバシャ、バシャっと撮っている。と、そこに唐突に現れた山本リンダ風の衣装を着けた綺麗なお姉さん。言葉巧みに彼に近付き誘惑し始めた。
据え膳食わぬは男の恥とばかりに、その気になった丁度その時、これまた急に現れた男たちの手によって漁師さんが使う網でグルグル巻きにされた青年。柱に括り付けられたまま、ガソリンを頭からかけられ火を点けられる。響く悲鳴。リンダと男達は薄ら笑いを浮かべながら静かに見物していたのだった。

「一寸先は闇」とはこの事だが、これがまさにエロものから「狂人村もの」へ展開した瞬間でもあるのだ。
この青年は愛車と共に燃やされたが一命を取り留めた。そこで登場するのが村の保守官ダニエル。事故に装われていたこの事件を殺人未遂ではないかと考える。のどかで事件らしい事件も起きないような平和な港町ポッターズ・ブラフ。だがこれは始まりに過ぎなかった。

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無残な姿になりながらも一命を取り留めた青年の息の根を止める狂人村の住人リンダ。続いて男達は酔っ払いを惨殺する。次には村を通りがかった旅行者家族。急に始まった連続殺人にダニエルは頭を抱えるが、犯人の手がかりは無く、被害者に関連性も無い。捜査を相談できるのは検死医であり葬儀屋も営むドッブスだが、きちんと仕事をしろよ、と嫌みを言われる始末。心の慰めは妻の優しい言葉だけだった。

そうしたある夜、パトカーで村を巡回していたダニエルは飛び出してきた男を撥ねてしまう。男は片腕がちぎれたにも関わらず何故か逃走していく。ダニエルはパトカーのフロント部分に残された男の皮膚を見つけ、調べてもらう。すると、その皮膚は3ヶ月も前に死んだ人間のものだと分かる。このあり得ない事実に、またもや頭を抱える彼。
そんな時、彼は妻の持ち物にとんでもない物を見つけてしまう。それは1本の撮影テープであったが、内容は妻が男を刺し殺し、得意げに村人に笑いかけているものであった ―


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解説にもある通り、殺しそのもののシーンもだけど、その結果の人の無残な姿が結構丁寧に描写されていて割とグロい。『死霊のはらわた』みたいな笑えるグロさではなく、真面目なグロさで大写しになる。そしてそれは損壊場面だけで無く、逆もあり(謎)。

で、面白くなっていくのは「狂人村」に翻弄されていく村人の正体を知らないダニエルが事実に気付き始めた頃。この辺りから「狂人村」は大きく変わり、次のステージに突入。
ここからがゾンビものと言われる所以だろうけど、自分は『フランケンシュタイン』を思い出した。でもまぁ、ブードゥー教とか増殖とかでゾンビなんでしょうけども。
この映画、最後まで目が離せませんよ。ラストのオチを見た時、「そこまでやるか」と思いましたもの。

“ホラー”とカテゴライズされた物は片っ端から観ていたはずだけど、まーだまだの若輩者でした・・
1981年と言えば『死霊のはらわた』と同じ年だというのに、『ゾンゲリア』っていうタイトルさえ知らなかった。この『ゾンゲリア』は邦題で、原題は『Dead & Buried』。“地下に眠る”的な意味だけど、“bury”には“覆い隠す”なんて意味もあるんですね。実はこれが、この映画のキモで種明かしともなっております。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • あまり詳しくはないのですが、1970~80年代にかけて、あらゆるホラーのベースが確立された時のように思います。
    当時はビデオデッキもまだ出たてで普通の家庭には無かった頃ですよね。
    映画は公開時に、もしくは金曜ロードショーみたいなテレビで観るしかなくて、いつでも何処でも観ることが出来る今とは全く感覚が違うように想像します。それだけに、映画好きの学生さんは話題に事欠かなかったんだろーなー。これこそ「娯楽」ですよね。
     
    今は古ーい映画なんかもDVDで借りることが出来たり、オンデマンドでお手軽に観ることが出来てとてもありがたいんですが、きっと当時のような共通の趣味を持つ人と語り合うことが難しいような(特に奇妙なホラー映画好きには)。
    だからブログをやっているのかも^^;
     
    **リンダさん、綺麗ですよねぇ

  •  今にしてみれば、「ゾンビ」「サンゲリア」「ゾンゲリア」「死霊のはらわた」は同時期映画ですが、当時の私にとっては中学生のときに「ゾンビ」を観て、高校受験のときに「サンゲリア」、高校に入学して漫画アニメの同志に出会い話題になった映画が「ゾンゲリア」、藝大に進んで自分たちと同じ20歳前後の若者たちが「死霊のはらわた」を創った事に衝撃を受ける、といった具合に思春期のタイムリーな時でしたのでけっこう時系列がくっきりです。
     
     看護婦姿の山本リンダ風美女が硫酸注射で息の根を止めようとする横顔が美しいですね。

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